はこりむ

げーむといらすとのかりすまうぇぶさいと

思い出

せっかくなので、今日はおれとサムスピの出会いについてすこし語ってみようかと思います。
思い返せばあのころは中学生でした。当時、近所に個人経営の小さな本屋さんがあったんです。田舎なので近くの書店といったらそこか、もしくはすこし離れたところにある中型のチェーン店でした。で、その小さい書店なんですが、なんとアーケードの筐体が店の隅に3台置いてあったんですね。スト2が出たころに比べるとだいぶ落ち着いてはいましたが、しかしそれでも巷では格ゲーがまだ安定した人気を誇っていた時代、下校途中のガキども(おれもだけど)が結構たむろしていたのを記憶しています。
で、なぜかそこに天サムも置いてあったんですよ。店主の親父としてはなんとなく置いただけなんでしょうけど、ちょっと目を転じるとリムルルが画面上にいるわけですよ。そして「大自然のおっしおきだよー!」と勝利ポーズを決めているわけですよ。そのあとに例の一枚絵が映るわけですよ。もう脳内でロシア革命、いやむしろテロですテロ。この瞬間、おれの脳細胞の8割方は新生したと確信しますね。早い話がリムたんにハァハァしちゃったんだよ(;´Д`)ハァハァ ちなみに後日、修羅リムでこっそりプレイしたことは秘密です。でもリムルルの声(松本恵が担当。そこ黒歴史とか言わない)はかなり響くので、きわめてまっとうな中学生をやっていた当時はすごく恥ずかしかった記憶が……。
あと、そのとき右京と天草もプレイしてました。右京を選んだのは長髪美形がカッコいいものだと信じて疑わなかったから(蒼月が見えていないあたりいかにも田舎者です)。天草については中ボスでもあったのと、やはり武器の宝珠に惹かれてました。
サムスピには残虐表現にも驚かされました。断末奥義なんかはその典型ですが、個人的にびっくりしたのが火月の炎滅。上半身が吹っ飛んで下半身だけ倒れるのが非常に衝撃的でした。変わり身の術とあらかじめ知っておけばいいのかもしれませんが、初見だとなかなかそうはいきませんし……。そういえばCPU戦でうかつに飛び込んでよく炎滅くらってましたっけね。ガルのレプリカアタックもスト2しかやってなかったおれにしてみれば斬新きわまりない技でした。これも頻繁にくらいました。
音楽についてですが、シャルの音楽だけはずっと記憶の片隅で覚えていました。耳に残る曲なんですよね、あれ。大学に入ってPS版の天サムを買ったとき、「ああこれだこれだ」という思いと「なんか違うな」という思いが同居してましたが、それもそのはずでPS版はかなり編曲されていました。ネオジオの音楽の方がやっぱりいいです。
サムスピに対する印象はだいたいこのようなもので、これからしばらくはチェックしていこうかなーと、もしかしたら当時のおれは思ったかもしれません。しかし中学後半、本屋から天サムが撤去されるという事件が起こります。半ば自然消滅的な別れでした。ちなみにサムスピにとって代わられた月華の剣士は、もはや自分にとってどうでもいい代物でした。そしておれ自身もまだそれほどサムスピに執着していなかったため、格ゲー周りのことは時とともに次第に忘れていきました。
転機は大学時代、もう忘れていたはずなのに、なぜかサムスピが無性にやりたくなったんです。「そういえばあんなゲームがあったなぁ」と、記憶の底で眠っていたものが蘇りました。どこか心に引っかかるものがあったんでしょう。おれはゲームを買いに行きました。そのあと緊張しながら帰ってくると、狭い部屋で1人、静かに本体の電源を入れました。何年も前に見た光景がそのまま、画面に映し出されていました。なんのためらいもなく修羅リムを最初に選んで、プレイ。
サムライスピリッツ零の制作が発表されたのはその年のことです。
出会って別れてからまた出会うまでにおよそ7年。1つの作品をめぐるにしては長い時間でしたが、いまはこれが当然の帰結であるようにも思えるのです……と、最後はカッコいい締めでどうでしょう?