消された一家
- 作者: 豊田正義
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 文庫
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こうなるとどうしても主犯・松永の性格や生い立ちが気になりますが、あくまで表面上は明るく礼儀正しく、さすがに服役中は塞ぎこんでいるかと思いきや、堂々とあいさつをするので周りの囚人からもさわやかな人と思われているらしいです。弁舌の巧みさが折り紙つきなのは、事件概要や裁判での証言でもうかがい知れます。虐待に使用する通電道具を改良したこと、人の些細な発言を事細かに記憶していること、死体の解体方法を自ら編み出したりするなど、頭の回転が早いのは間違いなく、道さえ誤らなければ大きな会社の経営者や政治家にでもなっていそうな人です(一応小さな会社は営んでいたようですが、やっていることは詐欺でした)。
2011年に松永は死刑が確定しています。最高裁で刑が確定するまで、罪を認めて自らの言葉で事件の真実を語ることがついになかったかの思うと、筆者もあとがきで書いているとおり、残念な気がします。